「学びの楽しさを社会に浸透させたい」”与えられる学び”が中心の今の日本の教育に対する、東大起業家の想い - 鈴木大河

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今回は、東京大学を休学し、「花まる学習会」で知られる株式会社こうゆう代表の高濱氏から出資を受け、教育の分野で起業した鈴木大河さんにお話しを伺いました。起業の先に目指す社会とは、また起業の背景にどんな苦悩があったのか。そういったことを伺いました。
「大学生起業家」と聞くと遠い存在にも聞こえるかも知れませんが、うつ状態になり、大学に行かない時期があったり、様々な苦悩があったそうです。起業を目指す方はもちろん、大学生活に何となく違和感を感じている方にとっても、ぜひ読んで頂きたい記事です!


現在取り組んでいること

鈴木:株式会社エデュケーションプラザという会社を立ち上げて、学びや教育をテーマとしたコミュニティを運営しています。変化が激しい時代だからこそ、「学び続ける力が大事」って言われる中で、大人になっても学び続ける場所を作りたいと思って日々奮闘しています。具体的にやっていることとしてはいくつかあって、親が子育てを学ぶ「親教育」の事業と、社会人が人生の本質を学ぶ「エッセンシャルマネジメントスクール」や「アルタナユニバーシティ」の運営をやっています。今は特に、自分の主事業でもある、親教育に注力しています。これまで、講演会の映像を編集して全国に届けるとか、6回きりのゼミを開催するなど試行錯誤を繰り返してきたんですが、あまり上手くマネタイズ出来なくて。今は、月額制オンラインサロンのような形で講演会の動画を配信し、事業運営しています。

活動のきっかけ

鈴木:実は、もともとは国際協力の道に進みたいと思っていました。

というのも、幼稚園はインドネシア、小5~中2をフィリピンで過ごしていて、ストリートチルドレンを間近で見ていた経験から貧困問題にすごく関心があったんです。


だから大学生になってからは、発展途上国をバックパックしながら研究するっていう学生団体に入ったり、JICAでインターンしたり、発展途上国で雇用創出事業をやっているベンチャーで長期インターンしたりしていました。


でも、貧困に苦しむ人を救いたいという想いでやっていた、雇用創出事業のインターンをしている時に大きな壁を感じたんですよね。

事業を通じて現地の人が仕事できるようになってお金を得られるようになっても、そのお金を普通にその日の夜飲んで使っちゃったりっていう状況があって。


これを続けていった結果、社会って持続的に良くなっていくのかなあって疑問に思ったのが、教育にシフトしていったキッカケです。社会を作っているのは人で、人を作っているのは教育だな、と思って。


あと、もともと起業はしてみたいと思っていて、色々なプログラムとかに参加していたんですけど、その中の一つで、Maker’s Universityっていう学生起業支援のプログラムに参加したときに、当時メンターとしていらっしゃっていた高濱さんと意気投合して、事業を任せてもらった、という経緯です。

大学に行かずに単位を全て落とした大学1年夏

鈴木:起業を考えだした当時、「学びのコミュニティづくり」に興味がありました。


というのも、僕自身、大学に入ってから色々うまくいかなかった時期があったんです。

もともと勉強だけが得意で生きてきたんですけど、一方で人とのコミュニケーションがすごく苦手で、THEコミュ障って感じでした。


大学入学してすぐに、テニスサークルとかバイトとか、色々やり始めたんですけどそれがしっくりこなくて。で、数か月頑張ってみたんですけど、大学1年の夏に、「何もかも全て辞めたい」っていう状態に陥り、引きこもりになってしまって。


結局、前期の試験を全部ブッチして全て単位落としました。

本当に自分が何のために生きているのか全くわかんなくなっちゃって。


夏が明けてからは徐々に大学に行き始めたんですけど、バイトとかも全部やめて、”とりあえず”大学に通っているみたいな状態が大学1年生の間ずっと続きました。


そんな状態が続いて、「何か新しいことやりたいな」っていう気力が芽生えだした頃に見つけたのが、前述した海外で活動する学生団体で、発展途上国に住んでいた経験があったので、興味を持って入りました。


で、ここの学生団体での活動にめちゃくちゃハマって。メンバーがみんな、「こういうことを学びたい」っていう自分自身で学びを作っているのを見て、大学と違う本当の仲間が得られた感覚があったんです。


大学って、基本的に与えられる学びだから、勉強に対して積極的な人って少ないじゃないですか。

そういう僕自身も、何となく選んだ学部だったので、全然大学の授業が面白くなくて。


でも、自分で問いを発して作っていく学びはすごく面白かったし、そういう本当の学びを通じて出会う人って本当の仲間だなと思ったんです。人生で初めて、自分の居場所を見つけることができて、立ち直っていくことが出来ました。

幼少期から正義感が強かった

「学び」に対して没頭する鈴木さんですが、幼少期の経験や家庭環境がどのように影響を与えたのか伺ってみました。


鈴木:生まれたのは日本で、幼稚園に入る前までは日本に住んでいました。

その後、父親の仕事の影響で幼稚園に入るタイミングでインドネシアに移住して3年間過ごしました。


小学校に入るタイミングでまた日本に戻ってきたのですが、小5の途中からフィリピンの日本人学校に編入し、中1~中2とフィリピンのインタナショナルスクールに通いました。そして、また中3から日本の中高一貫校に編入し、浪人1年を経て東大に入学、というのがざっくりした経歴です。


日本→インドネシア→日本→フィリピン→日本と、思春期に転校を何度も経験しました。


幼少期で覚えているのは、小学校の頃、フィリピンと日本のハーフの親友がいたんですけど、その子がいじめられていて。小学校とかって、ちょっと太ってたりするといじめの対象になりやすいじゃないですか。


いいやつなのに、ちょっと太っているだけで何でいじめられているんだろうって当時の僕にはすごく疑問に感じました。

なので、クラスでいじめについてどうするかという話し合いがあり、泣きながらクラスメイトに訴えたのを覚えています。「何でいじめるんだ」って。



何でその時に、彼の為に立ち上がることが出来たんですか?


鈴木:親の影響が大きいと思います。


小さい頃から、母親が自分のことを大事にしてくれていたので、何で人が人に優しく出来ないのかが、理解できなかったんですよね。


めちゃくちゃ小さい頃とか、僕をテーマにした創作歌を作ってくれたり、怒られた後も、寝てるときに「さっきは怒ってごめんね」って言ってくれてたのを聞いて、愛されてたんだなっていうのを感じていました。


親から愛情を受けていたからこそ、自然と人を信頼したり優しくしたいっていう想いがありました。


だからその時はいじめを受ける側の仲間になりたかったんです。「困っている人を救いたい」、「社会をより良くしたい」と思って今活動しているのも、根底で母親の教えや優しさに影響を受けているからだと思います。


あとは今の自分を形成した出来事で言うと、転校が多くて友達も出来づらかったので、コミュ障っぽくなっていったのも1つあるかなと思います。

中2の途中で日本の中高一貫校に編入したんですけど、転校生だったから学校に馴染めなくて。今振り返ると大した事ではなかったなと思うんですが、当時仲良かった友達から裏で僕のことを「フィリピン」って呼んでいるって聞いちゃって、そこから目立たないように生きようとするようになりましたね。

でもそういったことも、親に心配をかけたくないと思っていたので相談せず、その結果そのフラストレーションが爆発してしまったのが大学1年の夏でした。今まで物静かで周りに合わせて生きてきたから、本当じゃない自分を演じて生きることがすごく苦しくて。

それが爆発してしまった時は、親を責めてしまいました。

勉強ばかりさせられてきたし、転校も多かったから、親のせいで友達も出来にくかったんだ、って親にあたってしまいました。


そんな時でも、夏休みに父親が気晴らしに旅行に連れて行ってくれたり、(当時一人暮らししていたので)母親もご飯作りに来てくれたり、支えてくれたおかげで立ち直ることが出来ました。


教育にかける想い

鈴木:僕が親から支えられたり、愛情を受けた経験から、教育において家庭環境が与える影響は大きいなと思っています。


いじめも、親からの愛情が足りなかったり、家庭で上手くいかない鬱憤を学校で晴らすために起こるっていうものあるだろうし。

自分は学校でうまくいかなくても家庭の支えがあったからこそ立ち直れたし。


でも親が子育てを学ぶ機会ってあまりないじゃないですか。僕の親も僕の親で、そういう機会が無かったから不器用な育てられ方をしたこともあったし。だからこそ、子育て教育をもっと広めていきたいという想いで今の事業をやっています。子育てを通した学びももっと楽しめたら、もっと教育も良くなっていくと思います。


社会人のリカレント教育とかももっと浸透したら社会が良くなると思っています。僕自身が初めて居場所を感じれたのが「学び」を通じたコミュニティだったから、こういう場所ってすごく価値があるんだなって実感して。だからこういう場所やコミュニティがもっと広がったらいいなと思っています。



具体的に、今持っている目標などはありますか?


鈴木:目下の目標としては、オンラインサロンの会員を1000人以上集めたいと思っています。

でも、僕はあまり目標を立てないタイプで、自分が今やりたいことや、心がワクワクすることをやり続けていきたいと思っているのが正直なところです。


経営的な目標も立てるけど、直感でこれをやるべきだっていう感覚に従うようにしています。

高濱さんからは、「もっとビジネス感覚を持った方が良い」って言われているんですけど(笑)


あとは、社会に対する想いとしては、学びがもっと身近なものであってほしいと思っていて、難しい・苦しいものではなくて、楽しいものとして社会に浸透させたいです。「好きなことや気になることがあったら探求するのが当たり前に出来る」というのが目指している世界観です。



最後に、読者(大学生)に向けてメッセ―ジをお願いします。


鈴木:そうですね。

例えば、心が揺れ動くものって日常であると思うんですけど、楽しいことでも良いし、マイナスな感情でもいいし、そういう感情に対して素直であってほしいと思います。


やっぱり大学の授業とかって、言われたことは出来るんだけど生きてるっていう感覚はあまりしないんじゃないかなと思っていて。


周りの意見とかに流されがちですが、そういう本音の自分の感情に向き合って生きてほしいです。


アイデンティティを見つけた方が良いというのは社会の風潮としてありがちで、押し付けになったらダメなんだけど。

でも本音を出せずに苦しんでいるのであれば、主体的に自分を知ったり、探求するのを楽しんでほしいと思います。


自分の感情に素直に向き合うことが大事だと語ってくれた鈴木さん。今、彼がイキイキとやりたいことをしているのも、自分の思ったことに素直に生きているからなのだと感じます。誰でも、彼のようにやりたいことが分からなくなり、立ち止まってしまうこともあると思います。そんな時は、自分の感情に素直に向き合えているかどうか、自分に問いただしてみると良いかもしれません。

10月中は3日に1本の頻度で記事投稿していきます。

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