堀井:
僕自身は、あまり志みたいなものはもって生きていなくて、ずっと目の前の物事にとりあえず熱中することに人生を使っていました。新しい経験が得られることや、スキルが身につくことが楽しかったんです。
でもそれは、周りの大学生に対して、お前らよりすごいんだぞとか思われたかったということも背景にはあったと思います。
こう思うようになった背景には二つの経験があります。一つは祖父の死、もう一つはバスケサークルで初めてチームで価値を出せたことでした。
僕の祖父は大工で、無骨で頑固な人だったので、葬式にはあまり人が来ないだろうなと思っていました。でもふたをあけると、すごく人が集まって葬式会場に人が入りきらないほどだったんです。
それにすごく驚きました。それだけの人が集まってきたのは祖父が残していたものが大きかったからだと思いました。実は、僕の家も祖父が建てたものなので、亡くなった後には祖父が残したものを見るんですね。
それを見たときに、人生で何を得るか考えて生きるよりも、何かを誰かのために残すことを考えて生きていることのほうが美しいと感じました。そして僕自身もそんな自分になりたいと思うようになりました。
二つ目は、大学で入ったバスケサークルで経験したことです。初めは、体が動かないからバスケはもうやめようと思っていたんですが、友達に誘われてサークルに体験に行ったときに、びっくりするくらい体が動いたんですよ。体が軽い、バスケすることが怖くないと思ってバスケができたんです。
それをきっかけにバスケサークルに入って、楽しむことを目的に活動をしていました。それで自分たちの学年の代になったときに30チームほどが参加する中四国の大きな大会があって、その中でベストチーム賞という賞をいただくことができたんです。
そのときに見栄とか背伸びをしていない自分で、楽しんだりワクワクしたりすることを評価してもらえることを知ることができました。